- よめ
命を懸けた修行 日蓮宗の大荒行
今年は寒くなるのが早かったですね~。
10月に入り、夫の荒行堂入行もあと半月というところまで来ました。
カレンダーが進むにつれ、夫のため息がだんだんと深くなっていきます(^_^;)
当初は嫁もあっけらかんと応援してみたり、「辛いよね」と神妙な顔で共感してみたりしていましたが、夫のため息は深くなる一方・・・
・・・まぁ如何ともし難いので、最近は「神妙な顔でこっくりうなずく」(。_。*)という手を常用しています。ええ。
さて、今回はあと半月で夫が入ります日蓮宗大荒行のことを少しだけ説明したいと思います。
この大荒行は千葉県にあります中山法華経寺で11月1日から2月10日までの100日間行われます。

毎年、全国から約100人の行僧が集まりますが、これはすべての日蓮宗僧侶に必ず課せられているわけではなく、秘法を身に付けたいと自ら志願した者だけが入ります。
なのでそこに命の保証は一切なく、「命を捧げて修行します」という覚悟をもった者しか入ることは出来ませんし、もちろん100日後に無事に出て来れる保証もありません。
この修行は1回ですべての秘法を習得できるわけではなく、初めての荒行は「初行」2度目は「再行」3度目は「三行」…となり、5回目の「五行」を成満するとそれ以上の行僧を「参籠」といい、五行まで終了して、全ての秘法を習得することができます。
夫は今回「三行」として、大黒様の秘法を習得するために入行します。
妙栄寺では毎月甲子(きのえね)の日に家運隆昌や商売繁昌を願う「大黒祭」を行いますので、この秘法の習得は何としてでも叶えたいところ。
夫にとって三行の成満(無事に行を終えること)は悲願でありました。
荒行堂では毎朝午前2時に起床、寒空の下大きな桶に汲み置かれた水で身を清める水行を1日7回(3時・6時・9時・12時・15時・18時・23時)行います。
他の時間はお堂の中でただひたすらにお経を読み、写経を続けます。
衣は白木綿の単衣着物1枚と清浄衣。足袋を履くことは許されず、常に裸足です。
修行の少しの合間に、朝夕の2度だけ梅干し1個のわずかな白粥の食事を頂きます。
家族や友人と連絡を取ることは許されず、もちろんテレビや新聞もありません。
入行より35日間を自らの修行に集中する「自行」の期間。それが過ぎると12月6日より数分間の面会が許されます。
以降、全国から大勢の檀信徒さんが修行僧の面会と御祈祷を受けに荒行にお参りされます。
この日より修行僧は他の人を導く「化他行(けたぎょう)」としてご祈祷を行じます。
そして一百日目、2月10日の早朝に入行時から堅く閉ざされた瑞門(ずいもん)が開き、満身創痍の修行僧を出迎える成満会(じょうまんえ)となります。
しかし、そのまま「ただいまー」とお寺に帰ってくるわけではなく、修行僧が仏様や日蓮聖人に修行の成果と感謝を奉告し、檀信徒さまたちが御上人をお迎えする「帰山式」をもって、ようやく自分のお寺に帰ってくることができます。
……とまぁここまで書きましたが
書くだけでも気が重くなる修行ですね……
日ごろ話には聞いていますが、よめにとっても今回が初めての荒行です。
これから夫を待ち受けるその辛さや孤独さをはかり知る事は出来ません。
家族を持ち、他愛無い日常を知る前と後、どちらが辛い修行なのでしょう。
それは分かりませんが、この荒行は、ひたすら厳しい修行に耐え、己と向き合うという側面のほかに、檀信徒の方々の沢山の祈願を背負い、叶えるという側面があります。
「御上人、もうすぐねぇ。頑張っていらっしゃいよ」と背中を押してくれるおばあちゃんが、夫に託す「家内安全」。
「ほんまに行くの!?」と背中を叩きながらの「商売繁昌」。
私の胎内をドンドン蹴っている我が子の「安産成就」。
たくさんの人々の願いや思いを両手いっぱいに抱えて、行に入る夫は果報者のように思います。
それがどれだけ辛く、厳しくても。
12月6日が過ぎたら面会に行けると良いのですが、臨月が迫っている時期なのでどうでしょうね(^_^;)
またご報告をお待ちいただけると幸いです☆
あ、あと大荒行の御祈願に興味のある方はこちらへご一報ください(^^)